ソーシャルスキルトレーニング シナリオ解説
10106 | 家に遊びに来ないかと誘ってみた |
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イントロダクション (3人称視点)
友だちはほんとうに来てくれるかな。
声の調子や表情を見て考えよう。
Ⅰ 気があるときの返事 (1人称視点)
Ⅱ 気がないときの返事 (1人称視点)
二つのパターンにおいて児童Bの返事はともに「日曜日?考えておくよ。」ですが、パターンⅠでは「行きたいけれど予定がわからない」、パターンⅡでは「あまり行きたくないから適当に対処しておこう」といった気持ちが声の調子と表情に表わされています。
声の調子や表情の認知が苦手な子どもは、そのことが原因で日常生活でトラブルになっていることが多々あると思われます。まずは言葉の字義以外にも話し手の気持ちを推測する情報があることに気づかせることが大切です。
導入:
① 二つのパターンを見せる。
二つのパターンにおいて児童Bの言葉が同じであることに着目させる。
② 二つのパターンの違いを考えさせる。
「同じ」「違わない」と答える児童には、ヒントを出して、見てほしいところに注目させる。
表情の微妙な違いや声の調子の違いに気づければ良い。また「うれしそう」「嫌そう」など感情表現ができていれば、なお良い。
展開:
① 違いは何を表しているかを考える。
パターンⅠ:「行きたい」、パターンⅡ:「あまり行きたくない」気持ちが声の調子や表情で表わされていることを知り、人は言葉の字義以外で表している感情があることに気づかせる。
② 「考えておくよ。」と発話しながら「行きたい」、「あまり行きたくない」という気持ちを声の調子や表情を変化させて表現するよう指示する。
発展:
① 児童Bの「日曜日?考えておくよ。」の返事に対して、児童Aは次にどのような言葉をかければ児童Bが家に遊びに来てくれるかをそれぞれのパターンで考える。
話し手の気持ちは声の調子や表情にもあらわれます。また、聞き手は言葉の字義だけでなく、これらの情報を統合して話し手の気持ちを推測します。
PDDの傾向のある児童は、言葉を字義通りに解釈することが多いと言われています。これは、声の調子や表情を重要な情報としてとらえないことが原因であると考えられています。
「ぼくの家に遊びに来ない?」という疑問文を疑問文としてとらえられたか?
・ 声の調子や表情の違いに気づくことができたか?
・ 声の調子や表情から話し手の気持ちを推測できることが理解できたか?
・ 声の調子や表情を変化させて、自分の気持ちを相手に伝えることができたか?