ソーシャルスキルトレーニング シナリオ解説
10139 | 先生にいいつけた |
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イントロダクション (3人称視点)
児童A
先生、伊藤君が漫画を読んでいます。
先生
伊藤君、いますぐ片付けなさい
前の人が授業中に漫画を読んでいたので、
先生にいいつけた。
となりの子が何か言いたそうだ。
どんな意味か考えてみよう。
先生にいいつけた。
となりの子が何か言いたそうだ。
どんな意味か考えてみよう。
Ⅰ 直接的な非難 (1人称視点)
児童B
お前、嫌な奴だなあ。
Ⅱ 皮肉 (1人称視点)
児童B
お前、いい性格してんなあ。
皮肉とは、遠まわしに意地悪く相手を非難する表現方法です。PDDの傾向を持つ児童は、婉曲的な表現を理解することが苦手です。無理に説明すると「なぜそんなことを言うのか理解できない。」「自分にはわからない。」などとパニックになる児童さえいます。
少し説明して全く分からないようだったら、「こんな表現もあるんだね。」と流しても良いでしょう。
導入:
① 「イントロダクション」を見せた後、両方のパターンをみせる。
② それぞれのパターンで、隣の席の児童の気持ちを考えさせる。
対象児童が皮肉を理解しているかを確認する。
展開:
① 「いい性格してんなあ。」という発言はけっしてほめているわけではなく、「嫌な奴だなあ」という気持ちを表していることを説明する。
② 皮肉の例をあげて説明する。
・ 穴のあいた靴下をはいてる子に向かって、「おしゃれだね。」
・ 人の話に対して、「おもしろくない話、ありがとう」(ありがとうと言っているけれどまったく感謝していない) など
PDDの傾向を持つ児童にとっては難しい課題です。児童の持つ「言葉の世界」を無用に混乱させないような配慮が必要です。
・ このシーンの皮肉が理解できていたか?
・ 皮肉という表現があるということを理解できたか?